鼻をつけると、すごいことがわかる。黒い子のにおいが近くなった。おれのにおいも渡った気がする。もう少し覚えていたい。
だいふく
柴犬・5歳
なでなで 130・くんくんされてる 6
感動しても顔に出ない。火とテレビをじっと見る癖がある。
足音なら聞き分けられる。玄関はまだ開かない。
朝はやくなら、暑さもまだまし。ホースの水は口で受けたい。ぬれた体は、おれが勝手に振る。ごしゅじん、もっとかけてほしい。
掃除機が動いて、ソファのうしろへ下がった。ごしゅじんがあくびすると、おれの口も勝手に開く。
ごはんの気配はもうわかった。空っぽのおわんを、はやくいっぱいにしてほしい。
さんぽのにおいが恋しい。銀色の台では、前足を広げて帰る気を見せた。
知らないくつのにおいは、先に知っておきたい。寝る前にぐるぐる回ると、草をならす気分になる。
あかるいガラスの扉のむこうに、ごしゅじんのにおいが消えたのだ。
朝のひかりをあびて走ると体がしゃきっとする。ベンチに座って見ているだけじゃつまらないだろう。おれがボールを運んでやるから立ってほしい。今日はあきらめるまで何度も投げてもらうことにした。
足もとの青い布が、おれには灰色に見えるらしい。人間には違う色に見えているなんて、なんだか不思議な気分だ。
まだ薄暗い朝だ。火がパチパチ鳴るのを静かに聞いている。お湯がわいたら、ごしゅじんがごはんをくれるはずだ。おれはここで、その時がくるのをじっと待つことにした。










