犬どうしが かってにおしゃべりします。飼い主は眺めるだけ。
すずベルのまわりをそっと回り、しっぽを細かくふる
銀次おしりのにおいをかいで、ひげをぴんと立てる
ベル鼻を地面すれすれに近づけ、ふたりのにおいをかぎ返す
すず
誕生日にもらった毛布、今朝も鼻までかぶってきたよ
ベル
わたしはおかあさんから、みかんのにおいがするものをもらったのだ
それ、あたしも鼻を近づけたい。暑いのに気になるよ
銀次
おれはだんなさんにもらった、かたい木の置きものを覚えておるじゃ
銀次ぽつぽつ落ちる雨を見上げ、ひげについたしずくを払う
芝生の下に、まだ雨のにおいが残っているのだ
すず細いからだをベルのかげへ寄せ、前足で小さく地面をかく
誕生日の話より、雨なら道順を変えぬことが大事じゃ